これはおとといの話。
もうほぼ観光する場所もなくなってきていたので早めに宿に帰ってダンスをした。ダンベルを見つけて筋トレとおりまぜつつ踊ってた。
踊ってたら前の日記で写真のせたリュータローさんとヨースケさんが屋上に登ってきた。
「明日のバイトの為にパスポートのコピーとりにいくけど一緒にいく?」と。そりゃ答えは一つでしょう。
早速宿近くの文房具屋でコピーをとった。
その後二人は近くの大型スーパー(WALMART)に今日の夜飯を買いにいった。一緒に飯買ってきてくれると。GRACIAS!
戻ってもっかいダンス!汗だくになったぐらいでシャワーを浴びて二人を待つ。高地だからなのかやけに疲れてる。少し寝た。
20分くらいして起きたら二人が帰ってきてた。
帰ってきた二人は食材とともになにやら怪しいものをもっている。
掃除道具だ。窓をごしごし磨いて逆の面で水をきるあれだ。
「これで稼ぐ。」
当たり前のようにそういった。
メキシコでは路上で商売をするのは珍しくない。
信号でとまってる車に物を売ったり大道芸で火をふいたり。これもそのうちの一つ。止っている車の窓に洗剤ばっしゃーかけて窓を掃除してチップをもらうというもの。
どうやら二人は本気のようだ。
「今からやりにいくけど一緒にきてダンスしちゃう?」
前前から大道芸やりたいと思ってた。こんなチャンスはなかなかない。すぐに着替えて夜の街へ。

やるといっても二人とももちろんまったくの初心者。しょっぱなから商売にもちこむのは危険だ。
そこらに止めてある車でまずは練習。これがなかなか難しい。
相手にするのは信号待ちでとまっている車。そんなに長いこと時間をかけてやってたら駄目。しかもきれいにすることを前提にお金をもらうわけだからある程度のクオリティーも要求される。
つまり俊敏かつ繊細に作業をしないといけない。
クオリティーを高めつつ時間をはかってやっていたらそれをみていた現地のおばちゃんがそうじゃないとこっちにきてやり方を教えてくれた。これで食ってきたとすぐにわかる手つき。なんのためらいもなく洗剤をきったあとの道具を自分の服でふきとる。さすがです。
そのお師匠様にやり方を伝授してもらっていよいよ実戦!
まずは小さな道路でやろうってことで近くの信号機の前で待機。
信号でとまった車を囲い込む。いらないいらないと断る人が多くて最初なかなか踏み出せなかった。
でももうやったもん勝ちだろうみたいになって断られても洗剤かけて仕事開始。
うちらの営業スタイルは絶対に誰もやったことがないものだと断言できる。
最初に二人が車のフロントガラスで仕事を開始。その前でダンス。
お客さんサイドからすればフロントガラス掃除して段々視界が開けていくのと同時にダンスがみえてくるという仕掛け。これは間違いないだろう。
勇気をだしてふみこんだ。
‥‥‥もらえた!!!!1ペソちょい。初めてお金もらえた!!3人で手をとりあって喜んだ。こんなにうれしいことはない!!すこしづつ踏み込んでいった。
途中でお前一人でやってみればっていわれて一人で車の前に飛び出してダンス。

‥‥‥もらえた!!!!!!!!!!!なんてこった!一人でももらえた。自分自身のパフォーマンスでお金をもらえた!たった2ペソ。でもお金はお金。めちゃくちゃうれしかった。
これで1パフォーマーと名乗ってもいいでしょう。どんどんいきましょう。
結果このときはちょっとやって6ペソくらい。大通りでやるかってでかいとこいったら先駆者たちがいてできなくてとりあえず腹ごしらえのために一旦宿に戻った。
今日の夕食はステーキ!豪快に焼いてジャガイモと卵とともに頂く!
腹も期待も膨らんでまた夜の街に繰り出す。深夜12時ちょい前。
もうでっかい道路でやってる人がいなかったからそっちでやった!
ちっさい道路だと信号無視するひとが多くてなかなかとまってくんないんだけどさすがに大通りは大体の人は守る。
仕事は順調に進んでいった。あ、さっきのお師匠がいる。
お師匠に見守られながら仕事。さすがにこんなスタイルはみたことないらしく笑ってた。
徐々になれてって一人一人でも仕事をして稼げるようになっていった。途中で俺の車やってくれって受注が入ったり身売りのおかまさん?(通称立ちんぼ)に声かけられたりいろんなことがあった。
楽しくてしょうがない。でも毎度毎度本気ダンスで体はどんどん極限状態へと近づいていった!
時計もってなかったけどたぶん1~2時間程度で7、80ペソくらい稼いでた。
「100ペソ目指そうよ!」
思いとはうらはらにここらで少し勢いが落ちてきた。車の交通量が減ってきてた。
目標達成はもうまじか。一台一台にみんな全力で仕事に望んだ。

ここから、その事件は起こった。
4人組の車が目の前に止まった。いつもどおりお仕事お仕事!
よくみるとなにやらカメラをもっている。
4人が降りてきた。あ、テレビだ!!!!!!
もっかいくるから仕事もっかいしてくれといわれもっかいカメラにとられつつやった。
そこから取材開始。いろいろどっからきたとかなんでこんなとこで仕事してるんだとかいろいろ聞かれた。日本人がこんなことをやってるのがよほど珍しいらしい。
いろいろ質問に答えてるとぞくぞくとそっち関係の人が集まってくる。
どうやら最初の人が呼んだらみたいだ。
写真をスターの如くバッシャバッシャとられた。日本でもこんな経験ない。
んで仕事してるとことりたいからっていいって走ってる車をどんどんととめて交渉しやらされた。うちらにしてみれば稼ぐチャンス。何回も何回もやった。
気付いたら取材陣は20人くらいあつまっていた。テレビに新聞にラジオ。大変な騒ぎだ。
けっこうな取材をうけて落ち着いてきたところで腹へってないか?今から一緒にタコスでも食べに行こうといわれた。うちらはさっきステーキをがっつり食べてお腹はぱんぱんだ。まったくもって食欲はない。でもこんな経験はもっとない。プライスレスな経験をとってタコスを頂くことに。
車で近くの屋台まで移動。
そこでの待遇は王様のようだった。どれでも好きなものを食って飲んでいい。
マリオでいったらまさにスター状態。タコスを食ってる間も写真をばっしゃばっしゃとられた。

ここでも軽く取材があったりまた仕事させられたりでわいわい騒ぎ。
この様子は翌日のテレビ、今日か明日の新聞(3社)、ラジオ?で取り上げられるらしい。
なんたることか、、まさかこんなでかい騒ぎになるとは思わなかった。これは事件だ。
メキシコシティの夜の街でうちら3人はお金と栄誉と絆を手に入れた。
一夜にしてプライスレスな経験と名誉を手に入れたんだ。最高の夜。本当にやってよかった。
最後にみんなで写真をとったからそれをのせます。
飛行機延長してよかった。メキシコきて良かった。誘ってもらえてよかった。出会えて良かった。
これは偶然ではない、必然の話。GRACIAS!
